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日本! (南北朝)
No.26 南朝、大和の、、
大和の国、現在の奈良県の南部(吉野、五條、天川、十津川)以外の、 北部(奈良市、斑鳩)や中部(橿原市、桜井市、宇陀市)には南朝の足跡が少ない。

※『南北朝編年史』上下巻(由良哲次氏著、吉川弘文館)昭和39年9月1日版


■ 正平三年(1348):戒重西阿、良円(奈良県桜井市粟殿)
令和7(2025)年11月15日(土)撮影

上写真;書籍『南北朝編年史(※)』、興国二年(1341)の項に西阿の名前がある。

上写真;戒重良円の供養塔

京から吉野や賀名生方面に一直線に南下すると現在の天理市、桜井市や橿原市 地区を貫く。

しかしこの地域に南北朝時代、そして後南朝時代の史跡は本当に少ない。地勢的 に多そうに思うが、少ないのは南北に組しない寺社勢力が権勢を維持していた からだろうか。

そのような少ない史跡の中で、書籍『南北朝編年史』の興国二年(1341)の項 に、現在の桜井市在地の武士である戒重(開住、開治井、開地井、開治)西阿が 足利賊軍の武将の細川軍と幾度も合戦をしている記録がみられる。

西阿は子息の良円と共に四条畷合戦(正平三年、1348)で討ち死にしている。 桜井市には良円の娘の良妙が百か日追善供養と自身の逆修供養に四条畷合戦の 同年に造塔した五輪塔が完存状態で存在し、少ない南朝側の足跡として存在感を 示している。

その五輪塔を参詣してきたが、重厚なだけでなく台座の複弁反花座が優雅で素晴 らしい石塔であった。何より南朝の足跡に出会えたのが嬉しかった。


■ 元中九(1392)年二月:宗像神社(宇陀市菟田野大澤)
令和7(2025)年08月10日(日) 撮影

上写真;『南北朝編年史 下巻』の元中九(1392)年二月 の項を読んでいて、 下記の文を見つけた
「南朝、北軍討伐を大和宗像社に祈る」
これは『南朝編年記略』からのピックアップである。

この「大和宗像社」とは何処であろうか?
現在、奈良県 宗像神社で検索すると、三社がみつかる。
春日大社の第十番納札社の宗像神社、桜井市外山の宗像神社、そして宇陀市 菟田野大澤の宗像神社である。

同じく二月の項目を読むと、
「南朝、右近大将源顕泰に勅して、伊賀伊勢の南軍を統率して不慮に備えしめる (南朝編年記略)」

上記した奈良三社の宗像神社のうち、桜井市のお社は南北朝以来、春日社と称し たようで(明治8年復称)、該当から外れる。春日大社の納札社も規模などから 違うだろう。

やはり伊賀伊勢の南軍と有る様に、吉野方面と伊賀伊勢の勢力圏上に存在する 現・宇陀市の宗像神社が元中九年の戦勝祈願のお社と考えられるだろう。 ただしこの神社史には南朝が祈願したという記録は残っていないようだ。

上写真;宇陀市の宗像神社 参道鳥居


■ 延元元年(1336):入谷金兵衛(宇陀市菟田野入谷)
令和7(2025)年08月10日(日) 撮影

上写真;宗像神社から直線距離で1.6Kmほどの同じく宇陀市菟田野入谷には、 南朝の忠臣・入谷金兵衛の墓が存在する。

延元元年(1336)に後醍醐天皇が吉野朝を開いたとき、狼煙で賊軍の動きを南朝 に知らせた忠臣だという。

残念ながら入谷金兵衛なる郷士の詳細は分からない。

入谷金兵衛の墓とされる箇所は、墓石は確かに鎌倉時代から室町時代と時代が 考えられる五輪塔の形状が見られたが、周辺の墓地を整理した際に墓石類を集め た状態に見られた。

伝承が後世の後付けか不明だが、いずれにせよ南朝贔屓の土地であった可能性は 間違いなかろう。

既に拙HPにUP済であるが、ここ宇陀市には長慶天皇の墓石と伝わる層塔も存在 するような南朝の香りする土地なのだ。

上写真;愛馬の左後方に入谷金兵衛の墓が存在する。いかにも南朝らしい山の中だ。

上写真;宇陀市菟田野には 芳野川と称する川が流れている。 現在は 芳野(ほうの)と読むそうだが、むしろ 芳野(よしの=吉野)と呼び たくなる。

話を戻すと、、、元中九年(1392)二月は、南北朝合一まであと8カ月という 時期である。この時にもまだ北軍に抵抗する勢力が残っていて、そして抵抗して いたのが驚きだ。合一を多少でも有利にすすめるには、重要なゲリラ活動だっ たのだろう。


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Last Updated  2025-12-08