日本!(お神楽)
No.11 参候祭
撮影場所&日;愛知県北設楽郡設楽町三津橋・津島神社、 平成17(2005)年11月12日

参候祭は、七福神が湯立てを行なうというユニークな祭りです。当夜は、19時45分から22時45分まで奉納されました。
参候祭は、祭場の中央に湯立ての五徳があり、その周囲を神々が舞い遊ぶようになってます。そのルーツは田楽祭りとも、延年風流の祭りとも云われますが、現在の形で見ると、霜月神楽に七福神信仰が習合したユニークな様相を呈してます。永禄年間(1558〜1569)の記録に「折立牛頭天王八王寺田楽祭」との記録も残っているそうですから、既に450年も前に何らかの祭典が行なわれていたのは事実でしょう。ただ、七福神のうち、室町時代には弁財天のかわりに吉祥天が入っていた頃もあるようで、現在のように宝船に乗ってくる七福神信仰自体は江戸時代に入ってからであり、記録と七福神の神々のメンバーが固定されたのにはタイムラグが100年以上あります。よって、記録の頃に既に現在の面での神々が登場していたかどうかは、想像の域を出ません。
参候祭の神々は、特定の舞の“型”が有るわけではありませんが、決まり事があります。それは神座で禰宜との問答が有るのです。
そこで神々が返事で、「参候〜〜。」と述べることから、『参候祭』という名前になったようです。
祭の最中には、餅投げと抽選会もある代わりに「太平楽」のような禰宜による舞が省略されるなど、かなりイベント的な内容になっていました。神事は、当日の昼に塔の木の観音堂から神輿が出て、津島神社まで渡御の式があり、観音様が年に一度、津島様に会いに行かれると云われています。そして翌朝に観音堂に戻られるそうです。神輿渡御なら、津島神社は「お旅所」ですが、、、。この神輿渡御は、時間の都合で撮影できませんでした。

上写真左【不動の舞】;不動明王は七福神ではないが、滝の守護神として湯立ての正当性を証明するために登場する。
不動明王「一粒を千粒と思う滝の水。みだりに汲み取る云われはいかに。」
禰宜「牛頭天王八王子並みに、白山大権現、十一面観音ほか、大小神祗へ〜(略)〜明王様にも、その湯を御献上なされお帰りなされませ。」
上写真右【蛭子(恵比寿)の舞】;日本神話の蛭子は、七福神の恵比寿に習合している。恵比寿は、漁労・商売繁盛・交易の神。
下記の呪文を東西南北中央に唱える、、「きんぜい東方に糸をふてて魚を釣らんとすれば、東方にて宝蔵を釣り出す。」

上写真左【毘沙門天の舞】;勇気授福の神様。
禰宜「毘沙門様には、これへ如何致しに御出候。」 毘沙門天「されば当所に神楽あると聞き、氏子に福を授けんと参って候。」
後、前出の蛭子(恵比寿)を追い払う。
上写真右【大黒天の舞】;有徳・財宝・戦闘の神。禰宜「それ、その名はなんと申しますか。」、大黒天「ヌメクラ棒というものよ。」、禰宜「どうぞご披露なされませ。」・・・で、大黒天は“ヌメクラ棒”を見物人に走りながら披露すると、祭りは爆笑の渦となる。家庭円満・子孫繁栄の予祝であろうが、大黒天は神道では大国主命と習合している。大国主命の和魂(にぎみたま)は大物主命であるが、その名前の大物とは、すなわち大きな男根の持ち主という意味の解釈もあります。このような神に、実際に“ヌメクラ棒”を披露させるとは、昔の人のユーモアセンスに驚きます。

上左写真【弁財天の舞】;音楽・才智・水・芸術の神。弁財天「氏子繁栄、五穀成就のため、清らかな湯を献上致さんとして来候。」湯笹で湯を掻き混ぜながら、「当所当村氏子繁栄、湯玉さんじゃく。」と唱える。 上右写真【福禄寿の舞】;長寿を司る人望福徳の福神。禰宜「かかる尊き神座へ、ことすざましきなりをして、御出たるは何者にて候。」、福禄寿「さん候、七福神のうち福禄寿にて候。」

上左写真、、左より福禄寿・寿老人そして布袋。寿老人は、長寿・富財・与宝・諸病平癒の神様。布袋は、清廉潔白・大気度量を人々に授ける神様。 上右写真は、布袋が湯笹で湯を献じる。

上写真は、毘沙門天(右)が蛭子(左)を追う。
蛭子「参候、某は西宮の蛭子三郎にて候。」、毘沙門天「やー、汝は一とせ島へ流され、なべの内を敷地とし東土に帰り万の初魚を食いながら、かかる神座へ出しゃ張るって見苦しい。家へ帰れ帰れ。」、蛭子「先ずお待ち成され、私は神主の御意にて氏子繁栄のため七福神の舞を致して候。」、毘沙門天「いや推参な事を言う。七福神の舞は毘沙門天が請け取った。早く帰れ帰れ。」

上写真、不動明王による湯立て

《参考資料》
設楽町観光協会提供資料
【神社と神々】井上順孝;実業之日本社


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Last Updated  2005-12-11