日本!(お神楽)
No.5 新田神楽
撮影場所&日;宮崎県児湯郡新富町新田(にゅうた)神社
2005年2月17日

新田神社におけるお神楽に関心を持ったのは、度々参考文献に上げている『宮崎の神楽(山口保明著)』の新田神楽の項で、神庭の遠景写真が掲載されておりました。新田神社の境内に設けられた神庭は野外であり、これまでに拝見した室内のお神楽とは異なった巨大な神籬(ひもろぎ=神の依り代)に驚いたからです。そして、2月に奉納される当お神楽は“春神楽”であり、11〜1月頃の“冬神楽”と意味合いが異なり、その点にも興味を持ちました。
しかし、なにしろ舞が奉納されるのは野外です。出発日が近づくと、朝晩に天気をHPでチェックしながらも運に任せました。はたして宮崎到着日は、2月としては異例の23℃のピーカンで汗ばむくらいであったが、天気は下り坂とのこと、、、。が、前夜深夜に雨が降ったが、お神楽奉納中は雨も止み、運良く野外のお神楽を拝見することができました。
ここの新田神社は、彦火々出見命を祭神とする正八幡である。天正五年(1578年)の戦火で焼けたため、古い記録は喪失しているようであるが、兵火の30年後には再興され、以来地元民の鎮守神として親しまれてきたそうである。
お神楽は、当地の旧佐土原藩でも奨励されてきたと推察されるが、起源は定かではないとのこと。前記の書籍では、宮崎の平野部のお神楽は、山間部の神楽より歴史的に古いとの記載も見られます。
この新田神楽は、“春神楽”といい、別称“作神楽”とも“作祈祷神楽”とも云われています。2月に始まる“春神楽”では塩嶽神楽(11日)に続く2番目のお神楽で、宮崎県での春神楽は5月まで各地で続きます。
この“春神楽”は、稲作農業などの生育が順調無事に育ち、豊穣のうちに収穫でき祝うことを「予約」する意味合いがあり、これを『予祝』といいます。「日待ち」で弱くなった日差しの復活と生命の復活を願った『予祝』の“冬神楽”と、時期は異なれど、民の祈りの芸能である点は変わりません。
例えば、ここ新田神社では【蛇切り】という番付名の舞がありますが、蛇切りは一般には須佐之男命の八俣遠呂智(八岐大蛇)退治を連想します。ですが、UPしました写真のように藁の大蛇を真剣(!)で切り落とし、民はそれをお守りとして家に飾ることで、生育する農産物の虫除けになるとされる呪術性など、明瞭に生産形態とお神楽の祈りの世界が合体してることが読み取れます。
そして舞人が女性の赤いタスキを掛けて舞う、安産祈願は結局は家・集落・国の栄えに繋がります。【四人地舞】などは、『花祭』などとも共通する地霊鎮め、悪霊鎮撫などの呪術的要素があり、やはり花祭など狩猟・採取生産形態と同じ様に大地など自然への畏敬でしょう。

宮崎空港へ到着1時間後には新田神社で、準備を拝見・撮影し始めました。お神楽の当日は朝5時から夕刻5時まで撮影しました。直会までお邪魔させて頂きました。御馳走になった鯉のアライも美味しかったです。お世話になりました新富町の皆様、お神楽保存会ならびに新田神社宮司様に御礼申し上げます。

参考文献;
【新田神楽 教本】新田神社神楽保存会刊、ならびにパンフレット
【神楽を描く】弥勒裕徳著:鉱脈社
【宮崎の神楽】山口保明著:みやざき文庫


【前日の神庭準備】

【お神楽は、神事で始まる】

【壱番舞】


【鬼神】


【大神神楽】

【四人地舞】


【鬼神】

【蛇切り】


【中之手】


【中之手】

【手力】


【手力】


【神送り】

【雲下ろし】


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Last Updated  2009-12-29