日本!(真清田神社)
No.10 平成20年度 七夕まつり
 撮影場所&日;愛知県一宮市市内と真清田神社、平成20(2008)年7月26日
 撮影機材;Nikon D300+VR18-200mm、Tamron28-75mm

駅前から中央商店街を経て真清田神社さんまで、連続して吊り下げられる無数の巨大な七夕飾りの豪華絢爛さに度肝を抜かれる。開催の4日間に120万人が訪れる祭では、市内の各所にステージが作られて絶えずイベントが展開され、人々は飾の下の散策を楽しみ、屋台で味わい商店の期間限定セールを冷やかし楽しむ。祭りの興奮に盛り上がる真清田神社境内では、特設舞台で民謡や器楽演奏も行なわれている。その祭り特有の高揚した雰囲気の中、静かに摂社の服織神社ではご神事が斎行されていた。服織神社の御祭神は『萬幡豊秋津師比売命』で、織物に御利益のある神様であり、織物の中心地として栄えた一宮で崇敬を集めている。七夕の性格を考えると、七夕祭りの中核は真清田神社境内服織神社での祭典に有りと思うのだが、日本の神様は自己主張を強くされず神事も静かに斎行される奥ゆかしさが誠に神道的である。
人々は真清田神社を崇敬し参拝しつつも祭りが風流化(イベント化)していくに従い、ライヴ演奏やミス七夕など多くのイベントと商店のセールスや屋台の遊びへの関心が高くなる。それはそれとして人々が祭を楽しみ、活力を持てることには神様もお喜びになられるであろうし、人々が参拝するだけでも神威は亢進していくのだろうから、祭の目的はある程度満たしているのかもしれない。ただ、中核には神職さんや巫女さんによる神事があることを知るのは大切であろう。
さて、その七夕祭の中核についてであるが、七夕が今日のようにイベント化したのは最近であるが、始まりは古く奈良時代まで遡る。中国には天の川を挟んで対峙する牽牛星と織姫星を恋人同士になぞらえ、一年に一度逢瀬を楽しむという乞巧奠(きっこうでん)という習俗があった。これが日本に輸入されると、宮廷や貴族の行事となり、最も古い記録は持統天皇5(691)年に記されているという。星を祀るというのは星辰信仰であるが、一種の陰陽道的祭祀といえる。陰陽道祭祀には、律令制祭祀と同質の国家レベルでの儒教的祭祀と、道教的性格の個人・民間レベルの星祭という道教的な星辰信仰の2つの流れがあるという。星辰の祭祀は多く、陰陽道の神々は、この星辰から派生したものが多いという。このことは興味深い。なぜなら『古事記』に星の神は登場しないからである。天照大御神が昼の神様である対極の夜の神様は、神々の体系から外れているということらしい。その外れた神々を陰陽道でしっかり補っているし、昼の神と夜の神の習合さえ起こっている。伊勢神宮で“太一”という表現は天照大御神であり、星の神である北極星でもあるのだ。この星辰信仰の影響は、古事記にも“隠れキャラ”として出てくる。スサノオが暴れた時に機織りをしていた服織女こそ天照大御神であり、七夕(棚機)の織姫であるというのです。では相手の牽牛星はというと、日のカミであり、そのカミが日を祀る棚機(たなばた)女を訪れるのが神の降臨だというのだ。カミが一年に一度、来訪神として降臨されるとき、棚機女はカミに着せる着物を織り、カミの一夜妻になる、というのが女司祭者の巫女ということだ。後にアマテラスが棚機女から日の神へと神格の変化が起こったようだが、、、。この話の広がりは、アマチュア写真家のギャラリーの文としては大きくなりすぎて、手に負えなくなります。いづれにせよ、七夕祭りの中核で御奉仕される、神職さん巫女さんの姿を写真で御高覧頂きたく思います。

     《参考文献》
     【年間行事・儀礼事典】東京美術
     【陰陽道の本】学研、ブックスエソテリカNo.6
     【古事記の本】学研、ブックスエソテリカNo.40
     【伊勢神宮ー東アジアのアマテラス】千田稔、中公新書
     【アマテラスの誕生】筑紫申真、講談社学術文庫


上写真3枚; 織物で栄えた一宮市。織物の神様の服織神社へ、市内アーケード街を通って御衣奉献行列が進む。



上写真2枚、火の輪くぐり
参拝者は火の輪をくぐり、巫女さんに鈴祓いを受けます。
真清田神社さんの御祭神は『天火明命』で、太陽の火や熱を神格化した神様だと云われます。
「茅ノ輪」は牛頭天王にちなんだ輪くぐりですが、真清田神社さんでは、御祭神名にちなんだ輪くぐりなんでしょう。火の輪は太陽を意味してるのでしょう。


■ 舞楽奉納(服織神社)

上写真; 【浦安之舞】

上左写真; 【其駒】、上右写真;【陵王】


平成19(2007)年度の七夕舞楽より

上左写真;【陵王】、上右写真;【浦安之舞】


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Last Updated  2008-07-27