日本!(雅楽・舞楽)
No.1 2004年 伊勢神宮「秋季神楽祭」、熱田神宮「舞楽神事」

《上左》左大太鼓。火焔部は高さ2mで、龍の彫刻。胴は直径約1.3m。鼓面に三つ巴。上部に太陽を現す日形がつく。〈伊勢神宮〉
《上中》高舞台。高欄には擬宝珠がつく。舞台は高さ三尺(0.9m)、広さは四間(7.3m)四方。〈熱田神宮〉
《上右》右大太鼓。火焔部に鳳凰の彫刻で、鼓面は二巴。上に月を現す月形。〈伊勢神宮〉

■雅楽とは(1)日本に古来から歌い継がれてきた『国風歌舞』、(2)5〜10世紀の間に中国・朝鮮半島経由、又は林邑(りんゆう:ベトナム付近)・天竺(てんじく:インド)などからの外来音楽、(3)11世紀ころ日本の宮廷貴族によって発生した『朗詠、催馬楽』という歌物、以上の(1)〜(3)を総称していう。
(2)のうち、特に中国、中央アジア、インドから伝わったものを唐楽という。そして朝鮮、満州から渡来したものを高麗楽という。

■舞楽とは、雅楽に舞が伴うもので、左方舞、右方舞の別があり、舞の姿によって平舞・武舞・走舞・童舞に分けられる。

■時の流れの中で若干の変化はあるものの、ほぼ1,000年前の王朝音楽が現在でも楽しめる夢のような時です。楽奏は少なく貴重です。チャンスがある時は、ぜひ日本!の美の実演に接していただけたら、と思います。

■2004(平成16)年9月22(水)〜24(金)日の伊勢神宮秋季神楽祭では、三番の舞楽(振鉾・栄久舞・陪臚)と雅楽一曲(長慶子)が神恩感謝に奉納された。撮影は23日です。


【振鉾】舞楽の始めに奏される。一節(左舞)は天に供し、二節(右舞)は地に和し、三節(左右同時)は天神地祇に祈ったさまをかたちどった舞。紀元前1,000年頃、周の武王が殷の紂王を牧野に討った際、勝利を天神地祇に祈った様をかたちどった舞。


【栄久舞】第61回(1993年)に神宮遷宮を奉祝して作曲された、神宮独自の曲。元神宮祭主・北白川房子さんの御歌に、元宮内庁主席楽長・東儀文隆氏が作曲、元楽長・薗廣晴氏が振付けた。写真では一人の舞女のみ写しているが、四人で舞う。


【陪臚】聖武天皇の天平8(736)年にインドの婆羅門僧正と林邑の僧・仏哲によって伝えられた。舞は、聖徳太子が物部守屋軍と対峙した時にこの曲を聴き勝ったことから、振り付けられた。太刀、楯、鉾を持ち武官姿で舞う。

《参考文献》
雅楽(別冊太陽)、平凡社
伊勢神宮舞楽解説パンフレット
他は、下の熱田神宮記載と同じ


舞楽神事(雅楽)
舞楽(雅楽)の奏楽を伊勢神宮では“神楽祭”といい、熱田神宮では“舞楽神事”と呼んでます。


【敷手】

【胡蝶】

【左還城楽】

【抜頭】

【長慶子】

2004年5月1日午前10時半から午後3時まで、名古屋・熱田神宮西楽所前で九番の舞楽(雅楽)が奉納された。
私は午前中仕事をしてから駆けつけたので、五番目【敷手】から拝見拝聴、撮影した。
当日の番組は、一【振鉾】、二【万歳楽】、三【延喜楽】、四【喜春楽】、五【敷手】、六【胡蝶】、七【左還城楽】、八【抜頭】、九【長慶子】であった。
【敷手】;高麗楽。重来舞ともいい、渤海楽のひとつで、渤海から使者が来たさいに作ったとされる。
【胡蝶】;高麗、壱越調。醍醐天皇の延喜六(906)年八月に、宇多上皇が童相撲を御覧の時に藤原忠房が楽を、敦実親王が舞を作ったといわれる。
【左還城楽】;唐楽、太食調。本日は左舞で、早只八拍子(二拍と四拍の混合拍子)である。唐の明皇が韋后を誅して京師に帰り作曲したと伝えられる。中国西部の胡人は蛇を食すことから、蛇を見つけて喜び食す様を写実的に舞う。
【抜頭】;唐楽、太食調。天平年間(726〜748)に林邑の僧仏哲により、我が国に伝えられた。天平勝宝四(754)年四月に、東大寺大仏開眼供養の時にも奉納された曲。
【長慶子】;太食調。舞いの無い管弦曲で、源博雅の作曲。舞楽会の最後に奏する退出楽。

≪参考文献≫
『雅楽がわかる本』安倍季昌、たちばな出版。
『雅楽への招待』東儀俊美、林陽一、小学館。
『CD雅楽の世界(上下)』日本コロンビア、CDのライナーノート。



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Last Updated  2008-07-28