日本!(雅楽・舞楽)
No.6 2005年 伊勢神宮『秋季神楽祭』、 生田神社『雅楽の夕べ』
撮影は共に、本年9月23日です。
伊勢神宮では秋分の日の御神事である『皇霊祭遥拝式』が午前8時から斎行されますから、奉拝・撮影に余裕を持って午前5時45分に出発しました。そして伊勢神宮で午前中を過ごして、おはらい町での昼食後に神戸へ向かいました。睡魔に襲われて名阪道のPAで昼寝をしましたが、午後3時半に神戸の生田神社に到着しました。『雅楽の夕べ』が午後8時40分頃に終わって、自宅に着いたのは午後11時10分でした。運転と撮影に明け暮れた一日でした。

■伊勢神宮(伊勢市)
上左右 【皇霊祭遥拝式】午前8時(参進は午前7時50分頃)

春分の日、秋分の日は共に皇霊祭が斎行される日です。皇霊祭とは、宮中の皇霊殿で天皇陛下が神武天皇を始祖とする歴代の皇室の天皇・皇后や皇族の霊を祀る儀式であり、戦後までは旧制の国民の祝祭日でした。明治維新後に明治政府の神道重視の思想から、皇祖皇宗の命日を全て祝日にすることも有ったようですが、それも大変ですから神武天皇(4月3日)と孝明天皇(1月31日)のみ祝日として残して、他は春分・秋分の日にまとめて御祀りすることに変更になりました。戦後は両天皇の祝日は廃されました。
皇居で行なわれる皇霊祭に合わせて、伊勢神宮内宮では午前7時50分には神官さんが斎館から祓所に参進されます。
右写真は、榊を忌火で燃やしてますが、霊が天上界に登る意味があるそうです。

上左右〜能/和谷式【翁】午前10時 (関連HP「喜多流長田家 長袖会」)

シテ(翁):長田驍 神楽:和谷衡市、千歳:吉田信海、三番三:大蔵基誠 各師ら喜多流「和谷」家に伝わる、いわゆる「和谷式翁」には、千歳・翁・三番三に加えて、四方を清める神楽が加わるのが特徴です(写真左)。この神楽は、ワキ方が勤め、三番三はシテ方の少年が舞い、このような翁は呪師猿楽の芸風が伝承されてると云われてます。
観阿弥の頃、猿楽は畿内だけでなく各地に盛んな土地がありました。例えば、大和・近江・吉野・山城・宇治・摂津・丹後そして伊勢です。その伊勢では、和屋(和谷)、勝田、青苧の三家がありましたが、明治末までに和谷以外は絶えてしまいます。元禄の頃に喜多流を採用した和谷は、当時まだ活躍していた勝田座と共に明治四年の神宮制度改革まで、正月の伊勢神宮で能の奉納をされてたそうです。写真左は、鳥兜で舞う神楽。右写真は翁です。
尚、能楽堂などでの能の公演は撮影禁止ですが、当公演は禁止ではありませんでしたこと、お断り申します。

上四枚 『秋季神楽祭』より【迦陵頻】午前11時

演目の説明は、「日本!(雅楽・舞楽)〜No.2」に簡単ですが書いてありますので、ご参照下さい。
四人の舞人さんが舞いますが、伊勢神宮の迦陵頻は大きく海老反って飛翔するかの如く舞うのが美しいです。


■生田神社(神戸市中央区) 『雅楽の夕べ』(生田雅楽会)

御祭神は稚日女尊(わかひるめのみこと)と申し、天照大御神の幼名とも云われます。
西暦201年に神功皇后の三韓外征の帰途、神戸港で船が進まなくなったので、神占を行なったところ稚日女尊が現れて、生田に祭らしめと託宣があった。で、この地に海上五十狭芽(うみるがのいさち)が稚日女尊をお祭りしたのが御鎮座の由来と云われてます。
尚、この辺り一帯は源平合戦の古戦場で、能【箙】【生田敦盛】の舞台ともなる地である。また源平ではないが、能【求塚】の残酷であり凄惨であり、また哀れな話はこの生田の里で展開している。箙ゆかりの梅もあり、甲冑ファン、源平そして能ファンには参拝したい神社です。
そこで《生田雅楽会》定期演奏会が拝殿で午後7時から奉奏されました。
当夜は神楽が、【浦安之舞】【悠久之舞】で、管弦が【迦陵頻 急】【賀殿 急】【鶏徳】【林歌】という演目でした。

上左、拝殿での舞いの稽古。上中、拝殿。上右、楽人さん。

上左右 【浦安之舞】

昭和天皇の詠まれた歌に宮内省楽長・多忠朝氏が作曲振り付けされた。昭和15年に皇紀2600年記念として全国の神社で一斉に奉奏されたこともある曲ですが、戦時色は全く無い優雅な舞です。浦安とは、心やすらぐ平和な国という意味で、我が国土を浦安の国といいました。
舞は殆ど本殿向きで奉奏されますので、拝殿風景を入れた撮影をしました。

上四枚 【悠久之舞】

蒙古来襲の時、宏覚禅師のよって詠まれた歌に、皇紀2600年奉祝として、宮内省楽長・多忠朝氏が作曲作舞された曲。昭和39年の東京オリンピックに合わせて、多忠朝氏ご息女が女性舞いとして振り付けされて、愛と平和と秩序を表現された舞いとなりました。
舞は季節の花を持って四人の舞人さんが円周を描きながら、広がりまた収束しながら舞われて、大変に美しい舞です。
四人の舞に目を奪われて撮影すると散漫になるため、一人の舞人さんの舞いの型を集中的に追って撮影しました。

《参考文献》
【神社】岡田米夫、東京堂出版
【年中行事儀礼事典】川口謙二、池田孝、池田政弘、東京美術
【能楽ハンドブック】戸井田道三、小林保治、三省堂
および関連HP


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Last Updated  2005-12-11