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No.53 伊勢神宮 宇治橋渡始式、奉祝舞楽(式年遷宮行事〜その3)
撮影場所&日;三重県伊勢市 神宮内宮、平成21(2009)年11月3日
撮影機材;Nikon D300&D80、VR70-300 &VR18-200mm

平成25(2013)年の第62回神宮式年遷宮に向けたお祭りと行事は、既に平成17(2005)年の山口祭から始まっている。今年の唯一の行事にして大きなお祭りが、本日 斎行された。五十鈴川に架かって、神域 と俗界の結界に位置する「宇治橋」の新設完成架け替えでの『宇治橋渡始式』である。式年遷宮に合わせて宇治橋も架け替えられるが、お社の遷宮の4年前のことである。すなわち遷宮に向けて、道を整える意味がある。11月3日、渡始式が行われた新しい橋は、昨年の7月26日に修造起工式が行われた。旧橋は本年の2月1日まで使用され、以降 今日までは仮橋が使われていた。
午前10時、斎館を出られた神職さんが宇治橋の下流に架かる仮橋を渡り、饗土橋姫神社で祭典を斎行されて、万度麻を授かる。その万度麻は宇治橋の擬宝珠に納められる。再び神職さんは仮橋を渡って神域に入り、今度は渡女を先頭に宇治橋を渡って饗土橋姫神社へ向かう。参列は、衛士・橋工・渡女・神職・参列員である。渡女は三世代健在の一族の女主人が務める。これは長命を寿(ほとと)ぎ、三世代であることが和合を意味する呪い(まじない)である。参列員は全国の三代夫婦61組である。
写真の先頭あたりを歩かれる緋袴の方が齢81歳の渡女(わたりめ)である。伊勢在住で、三世代健在でお孫さんまで参列できる崇敬心篤い人が選ばれる。渡女の存在は前記したように、長寿の縁起良さと三世代の和合を寿ぐ(ほととぐ)意味がある。しかしかがら、それだけでなく色んなことが考えられよう。里神楽や能でも男性である爺さんである翁には、神性が認められる、何故かは謎だが。女性であるお婆さんは、案外と民俗芸能では神としては登場が少ない。能でも落剥したり捨てられた境遇の老女が殆どで、神性は『高砂』の姥くらいであろう。しかし、伊勢神宮での宇治橋渡始式での老女である。翁でないのが、これはやはり伊勢神宮の内宮のあり様を示唆しているのではなかろうか。すなわち、産するという女性の存在こそが国家の礎の根本である、その産することは子孫にも稲作にも通じる、そういう意味である。産する女性の偉大さ、それこそが至高神が女神であることの意味でもあろう。では何故、民俗芸能では女神は少ないのか、特に姥は。里神楽などの伝道者が山伏や修験者など男性であったという媒介の存在も考えられるだろうが、里神楽などが稲作というより、生と死・浄土などの狭間に存在する芸能だったからかもしれないと思う。
なお、宇治橋は現在のような形になったのは、室町幕府第六代将軍足利義政の寄進(永享7、1435)年のことで、それまでは浅瀬に石を敷き詰めて渡っていたらしい。それはともかく、宇治橋の真ん中には中伏板という正中として通っている。神道(かみみち)で、神様の通り道である。この正中の真っ直ぐ先には、饗土橋姫神社が鎮座している。そんなマンダラの世界である。

■宇治橋渡始式

上写真2枚;まず仮橋を通ってから、饗土橋姫神社での祭典に参進される神職さんら。

上写真;祈祷を受けた万度麻が神職さんと橋工によって、宇治橋の擬宝珠に納める儀式。

上写真2枚;いよいよ神職さんの前方を渡女を先頭に参列が宇治橋を渡る。

■奉祝舞楽

当日の午後1時からは、神苑において奉祝舞楽が奉奏された。曲は『振鉾』『萬代舞(よろづよまい)』『萬歳楽』「長慶子」であった。『萬代舞』は昭和28年の第59回式年遷宮のときに奉祝作曲された、神宮独自の曲である。笏拍子・神楽笛・篳篥・和琴の奏楽で、十二単で舞女(まいひめ)さんが優雅に舞う。なお奉祝舞楽は4日、5日にも奉奏された。

上左写真;振鉾、上右写真;萬歳楽

上写真;萬代舞


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Last Updated  2010-06-10