日本!(近江の祭・火祭)
No.61 昔話
■ 幽霊壺 (滋賀県守山市;2019年10月撮影)

上写真;この昔話に出て来る小津袋(小津)は干拓されたのか、現在では港が無い。ゆえに直近の琵琶湖を撮影。

小津袋から舟で大津や坂本へ稼ぎに行く徳有という人が居た。夜、港に着いてやれや れ と思った矢先、美女が現れて 坂本まで送って欲しい という。 夜の琵琶湖は荒れるゆえ断ると、その美女は凄み始めた。恐くなった徳有さんは仕方 なく舟を坂本に漕いだ。坂本に着くとその美女は 或る家の玄関に 貼って有る御札を剥がして欲しいという。云う通りにすると美女は家の中に入ってか ら壺を持って出てきた。その壺は御礼で、お金に困った時に壺に願うと 必要なだけ用意するが壺の蓋を取ってはいけない、という。もらった徳有さんはお金 に困らなくなったが、ついに好奇心から蓋を開けてしまった。 しまった!と思ったが後の祭り、その壺は単なる壺でしかなくなったという。

御札を剥がすように頼まれたその御札は、魔除けの護符だったのだろう。美女が入り 込んだ家の中は、異界だったのだろうか。異界からの贈り物には 尽きることのない富が溢れ出る魅力が備わっていると思われていたらしい。禁止を破 る辺りも、いろんな昔話にみられるパターンだ。


■ 三上山の妖怪百足退治 (滋賀県大津市、野洲市;2019年10、11月撮影)

上写真;瀬田の唐橋。この水底に龍宮城があるという。 三上山を背景に、東海道線(琵琶湖線)が通っている。

瀬田川の唐橋の水底には龍宮城が有り、琵琶湖を守る大蛇(竜)が棲むという。 ある時、この大蛇が唐橋に横たわっていたので人は怖れて橋を渡らなかったが、藤原 藤太秀郷は怖れず大蛇を跨いで渡った。 渡り終えると翁が現れ、三上山のムカデが琵琶湖を荒らして民が困っているから、大 蛇を恐れぬ貴殿に退治して欲しい と云う。ムカデは三上山を7周り半も巻き付いた 巨大な怪物だ。しかし恐れず秀郷は ムカデと戦い、これを退治した。 退治を頼んだ翁は、琵琶湖の底の竜宮の主であったのだ。退治のお礼に竜宮に招待さ れた秀郷は、竜王から種々の贈り物 を貰う。その中に中身の尽きることのない俵が 有り、それから秀郷は 俵藤太秀郷と呼ばれる ようになった。 琵琶湖の湖畔の民と山の民の勢力争いを比喩した昔話である。


■ イサダになった娘 (滋賀県大津市、守山市;2019年10月撮影)

上写真;大津市堅田の満月時浮見堂。灯籠は守山市のお満灯籠(娘の名前は お満 又は おいさ と伝わっている)。

草津の宿の お満という娘が逗留した叡山のお坊さんを好きになった。お坊さんはや がて堅田の満月時で 修行する身だという。お坊さんは無理難題を云えば お満は自分を諦めてくれるだろ うと思い、堅田の浮見堂に百日通ったら一緒になる、と云った。恋慕募る お満は琵 琶湖を たらい舟で渡り、ついに翌日の 夜に満願となった。お坊さんはまさか本当に通ってくると思わなかったから慌ててし まい、満願の夜には浮見堂の灯りを消して判らないようにしてしまった。お満は琵琶 湖湖上で方向を見失い、水底に恨みを 持って沈んでしまった。娘は イサダという魚になって坊さんを呪い続けているのだ という。


■ 亡霊ホタル火 (滋賀県近江八幡市;2019年10月撮影)

上写真;昔話の舞台となった藤ヶ崎の風景。

藤ヶ崎あたりには帆掛け船が30ぱいほど有って、毎日薪を積んで湖南方面に運んでい た。ただし風に 乗る都合上、夏は午前02時ころ、冬は午前04時ころに出航していた。ある時、舟の船 尾にホタル火が 付いたので手で掃ったら、砕けて舟全面が光りだして、船頭は驚いてしまった。寄港 して他の船頭に 話したら、それは琵琶湖で死んだ人の亡霊で、水竿の先を少し切った状態で光る処を 突くと消えるという。


■ 犬上物語 (滋賀県犬上郡;2019年10月撮影)

上写真;犬上神社(多賀町大字富之尾)。犬上川・大蛇ヶ淵に鎮座する祠は、小石丸の首塚だ。

昔、犬上郡を稲依別王命(いなよりわけのみこと)という人が治めており、愛犬に小 石丸が居た。 賢く狩りが上手な犬として、近隣に名が知れていた名犬である。 稲依別王命が小石丸を連れて山奥に出かけた時にお百姓さんから、大蛇に村人が度々 淵で襲われる、 と聞いた。稲依別王命は七日七晩も、大蛇退治にその薄気味悪く水が荒れ狂ったよう に流れる淵を見つめていた。 しかしついに疲労でウトウトした時、小石丸が狂ったように鳴き始めた。しかしその 方向を見ても 何も居ない。それでも鳴く小石丸に腹を立てた稲依別王命は、一刀のもとに小石丸の 首を切って しまった。切られた首は宙を舞い、稲依別王命の居た木の上に居た狒々の頭を持った 大蛇に噛みついて 落ちてきた。さすがに自分の短気を恥じた稲依別王命は、小石丸の首塚を建てて供養 をしたという。 犬上とは、犬噛み という意味だろうが、それほどに怖れられるほどの洪水を伴う激 流だったのだろう。


■ ビワの好きな龍神 (滋賀県東近江市萱尾町;2019年10月撮影)

上写真;大瀧神社と愛知川

八風街道を美女が一人で歩いてきて、庄屋甚太夫の家にやってくると、大瀧神社に参 拝するのだけど 泊まらせて欲しいと云う。娘は庄屋に小石を渡し、この石を撫でるとイイことがある という。そして、 食事は卵を数個欲しいけど部屋を覗かないように、と云う。それから毎年 娘がやっ て来るし、小石を 撫でるから庄屋の家は栄えた。しかし疑問に思った庄屋はついに、部屋を覗いてし まった。すると 中には娘ではなく大蛇がいるではないか。その時から庄屋は熱を出して狂い死にして しまったし、 小石は何の願いも聞いてくれなくなった。大蛇は愛知川の水が増える時期になると、 萱尾のほとりの ビワの木をの実を目当てにやって来る、瀬田の唐橋の水底に棲む龍神だったのだ。


■ 結び岩 (滋賀県米原市磯;2019年11月撮影)

上写真;北から見ると烏帽子に似ているので、烏帽子岩と呼ばれている。道路を挟んだ反対側に日本武尊を祀る磯崎神社がある。

磯という村にイケメンが居て、村娘に人気だった。しかしそのイケメンは村娘を相手 にせず、漁で 出掛ける白髭の娘とねんごろになり、祝言を挙げることとなった。それを知った村娘 は激高し、 イケメンを呪い始めた。するとイケメンは原因不明で死んでしまったのだ。死と同時 に磯の湖岸に 一夜にして岩ができたため、イケメンが岩に変わったと噂された。許嫁が死んだこと を知った白髭の 娘も後を追うように琵琶湖に入水してしまった。すると娘の姿は岩となり、磯の岩ま できて一つに なった。村人たちは、白髭明神が二人を憐れんで岩となって結んでくれたのだと、話 したという。


■ 弥高村の鐘 (滋賀県米原市弥高;2019年11月撮影)

上写真;弥高山(矢印)と、弥高集落の善通寺の鐘。

弥高山は神様の山だからむやみに入ってはいけない、と云われていた。しかし酒に 酔った勢いで 若者が山に入ると白兎が現れた。白兎を追って若者はどんどん山奥へ入っていった ら、今度は 美女が現れた、と思ったら鬼の顔に変わって「人が来た!」と恐ろしい声で叫び始 め、若者は 気を失ってしまった。気付いた時にはもう、暗くなりかかって場所も判らなかった。 すると目前に老婆が現れ、許しなく入山したが慈悲を持って見逃す故に早く帰れ、と いう。 途方にくれていると、次は鬼に変わる前の美女が現れて、山に仕える巫女だが帰り道 は神様が 知らせてくれるだろう、と云って姿を消した。すると村の聞き覚えのある鐘の音が聞 こえてきた。 若者は、神様が教えてくれるとは寺の鐘の音か、と感謝して鐘の鳴る方へ歩いて下山 したという。


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Last Updated  2019-11-27