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No.51 夏至祭 二見興玉神社
撮影場所&日;三重県伊勢市、平成21(2009)年6月21日

21日(日)の午前3時半〜5時半、二見興玉神社(三重県伊勢市)さんで、夏至祭が斎行された。崇敬者250人が、夫婦岩の前の海中で禊を行う神事である。前夜から降り出した雨は時折 叩き付けるように強くなる中、午前3時半からはまず、拝殿で祭典が行われた。この時も禊をされる崇敬者の方々全員が拝殿に入れるわけがないので、雨中でずぶ濡れで立ったままである。祭典が終了すると、境内では全員によって鳥船行事等である。一言で鳥船行事といっても、かなり正式(?)に段取りを経て行われたので、25分くらいは掛かったように思う。段取りは、和船の櫓を漕ぐ動作を気合を入れながら行う、雄健行事として「生魂・足魂・玉留魂」「国常立命」と唱える。印を結ぶ雄詰行事。伊吹行事として、呼吸法を整える。この儀式は、禊前に心身の浄化そして充実を得るためであるが、冷たい海水に浸かる前の準備体操も兼ねた、誠に質実有意義な儀式だと思う。きちんとした段取りを経た鳥船行事などは、初めて拝観した。そのような儀式を経てから、境内から海中へ入っていく。それから夫婦岩まで約150mを、崇敬者250人が静々と腰まで海水に浸りながら歩いて行く。折りしも満潮で、雨風強い。まだ夜明け前の午前4時15分くらいのことだ。全員が夫婦岩に到達し整列したころに、やっと明るくなってきたが、雨雲が低く垂れ込めたままだ。晴天で条件が良ければ、富士山頂上から太陽が御来光するのが、夫婦岩の間から拝することが出来る。時季が梅雨であるから、10年に一回有るか無いかのことだろう。それでも二十四節気の一つである夏至の日、太陽霊の霊力は雲の彼方からでも崇敬者に注がれたことであろう。気合と共に、海水にしゃがみこむようにするのだが、崇敬者からも拝観者からも、悲鳴ともどよめきとも区別できないような声が上がった。まだまだ海水は冷たいはずだ。海中禊が終わると、再び境内で禊前より簡略的な鳥船行事などが行われ、特殊神事・夏至祭が終了した。午前5時半頃であった。
二見の浦は、太陽霊の復活を祈る聖地であった。もとは神宮参宮の前に、ここで垢離(こり)かきをしたのだ。現在の夫婦岩付近が、その垢離かき場であったという。そのような云われのある特殊神事が、二見興玉神社さんの夏至祭である。
(添付写真;今月21日撮影、Nikon D300+VR18-200mm)
晴天で、夫婦岩の間から上がる太陽の写真は、↓。
http://www.photoland-aris.com/myanmar/near/n42/

上写真左;午前3時半、祭典に参進される神職さん。 上右写真;祭典中、崇敬者が整列。

上写真;祭典後、境内で鳥船行事など。

上写真5枚;海中禊

上写真;禊後に境内で再度、鳥船行事。


■松下社、蘇民の祠
午前5時半に二見興玉神社(三重県伊勢市二見)さんの特殊神事「夏至祭」を奉拝・撮影後、そこから直線距離で1.3Km程の松下社(伊勢市二見町松下)を参拝した。ここが蘇民将来の謂れの地でありお社であるにもかかわらず、未だに参拝したことがなかった。前夜からの雨がシトシトと降り続く夜明けの午前6時、まだ街は眠りの中である。松下社に隣接する「民話の駅 蘇民」の駐車場に愛車プリウス君を置き、松下社の森に入っていく。伊勢鳥居を潜って本殿に参拝するが、本殿も神宮の摂社・末社にある形の建築だ。にもかかわらず、伊勢神宮の摂社・末社には属していない。社殿の千木は内削ぎ、鰹木は4本と偶数である。てっきり大きな社殿が蘇民将来を祀るかと思ったら、そうではなかった。御祭神は不詳一座と、なんとっ!素戔鳴尊と菅原道真! 荒ぶる神に祟り神が二柱っ。素戔鳴尊とは牛頭天王と比定されている。牛頭天王と言い換えるなら、ダブル祟り神が御祭神とは、す、凄過ぎるっ恐すぎるっ(汗)。不詳一座とはどのような神様だろうか?この松下社は創立不詳で、古い記録では宝徳1(1449)年の「氏経日次記」に表れるようである。そして牛頭天王縁起は元和6(1620)年の記録に有るようである。それにしても社殿が内宮に通じる内削ぎ、偶数鰹木とは、不詳一座は女神なのだろうか。もともとは土地の鎮守社だったらしいが、社殿の形態と不詳一座に関連はあるのだろうか。それもそうだが、やはり同じく祀られている祟り神は強烈である。この土地には、何らかの疫病が蔓延したとか、そのようなことがあったのではなかろうか。今月7日、二見興玉神社さんの特殊神事「郷中施」を奉拝・撮影してきて、HPには既にUPしている。その文中にも書いたが、津波の犠牲者の供養と郷内安全祈願の祭りは、実は津波ではなくて、疫病などの鎮魂そして牛頭天王を疫神として流す祭礼ではなかったかと推測していた。やはりこの松下社を参拝するに及んで、その思いは益々強くなった。松下社の同じ境内には、「蘇民の祠」として蘇民将来を祀っている。その祠は、ささやかである。この杜には、蘇民将来が住んでいたと伝わる。ゆえに隣接した場所に、「民話の駅 蘇民」があるのだ。ここは地元の農海産物の販売所や、多目的集会所を兼ねている。
話は脱線した。松下社、もっとゆっくり境内を見てみたかったが、「マムシに注意」の看板を見てしまった(汗)。牛頭天王に菅原道真の強烈祟り神、そしてマムシの来襲! アカン、もう気分が萎えてしまった。深々と頭を下げて参拝し、松下社を後にした。
伊勢市内の民家玄関先に掛かっている「蘇民将来」の護符の由来、この松下社や二見興玉神社の神事「郷中施」はヒントになるような気がしている。

郷中施⇒ http://www.photoland-aris.com/myanmar/near/n50/
蘇民将来⇒ http://www.photoland-aris.com/myanmar/near/5/

上左写真;松下社ご本殿、上右写真;蘇民の祠


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Last Updated  2010-06-10